日本をふくめいわゆる西側先進国の経済体制は資本主義と呼ばれます。cpitalismのイズムを主義と訳してそう言うのですが、イズムときたら主義、この短絡直訳主義は正しくない。事実、マルクシズムをマルクス主義と訳すのはよいけれど、アルコホリズムはアルコール中毒です。マルクシズムなるものは実はマルクス中毒で、アルコホリズムはアルコール主義の旗を掲げているのだと私はよく言うのですが、霧深きスコットランドのコハク色の液体を私がこよなく愛していることを知る人たちからは、冷笑が返ってくる。残念なことです。しかし資本主義などという主義・思想は存在しなかった。その擁護者たちも、いまはこの言葉を避けて「自由企業体制」とか「自由主義」と言うほうを好んでいます。
瑞穂の国・日本の農業が叩かれています。生産性が低い、値段が高い、政府の保護が厚すぎる、専業農家が少ない。聞こえてくるのは、農家に耳の痛い話ばかりです。「農を以て工を促す」という言葉が中国にはあります。経済を発展させるためには、まず農業を振興して、その余力で工業を育成するという考え方です。食料を自給自足できるようになれば、農産物の輸入にあてていたおカネが浮きます。その資金で最新の設備、機械、技術を導入すれば、工業が育ちます。農業の生産性が高まると、農村の余剰な労働力を都市の工場に回すことができます。明治時代から、日本もそうした手法で経済発展をめざしてきました。その農業がいま、まるで日本経済の厄介者であるかのように扱われています。「天候に左右される農業に、工業と同じような生産性を求めるのはおかしい」「コメの輸入が自由化されると、農家は総崩れになる」。農業団体は、農産物の輸入自由化に反対の声を張り上げていますが、逆風は強まるばかりです。
アマゾンの熱帯林が危機的状況にあるいっぽう、驚くべきペースで森林回復がすすんでいる国がある。経済成長が著しい中国とインドだ。1998年、中国の揚子江で3000人以上の犠牲者をだす大洪水が起きた。揚子江の上流で森林伐採を行ない、農地にしたことが原因だった。この教訓を活かし、中国では天然林の伐採を禁じ、農耕地を森林にもどす「退耕還林政策」を実施した。これによって急激に緑化がすすみ、2000年から05年までのあいだに約4000万ヘクタールも森林面積が増えた。この増加率は文句なしに世界一である。日本でも年間わずか1・6%ではあるが、きめ細かい森林管理のおかげで森林の密度が増加している。適正な森林管理を行なえば、森林を復活させることも可能なのだ。国ごとに経済事情の違いはあるが、世界的な視点で森林保護対策を行なうことが求められている。