私が店長になった頃は、この業界は高単価で回転率もいいというので、大手企業が目をつけ始めた頃でした。他の商品を扱っていたところが次々に中古ブランド品市場に参入し、ヘッドハンティングが増えてきました。しかし、たとえ独立するにしても、質屋を開業するには、まず億単位の準備資金が必要になります。簡単に用意できるものではありません。そんなとき、現在某質屋の会長になっていただいている、某企業の社長・Tさんと出会ったのです。某企業は、千葉県を中心に関東圏で本やDVDなどの中古品を扱っている会社で、同じ中古品業界です。当時、一緒に独立を考えていたA店の先輩と3人でTさんに会い、居酒屋でいろいろとお話ししたんですが、そこでTさんから「うちが出資するからやってみないか」と言っていただいたのです。Tさん自身、ブランド品は中古品業界においてなくてはならない商材だという認識があり、そこで我々の持つノウハウと合わせて一緒にやってみようという話になったのです。これは、願ってもないチャンスでした。某企業の企業理念は「チャンス&チャレンジ」。チャンスは平等に与えるから、どんどんチャレンジしなさいということ。私もそのチャンスを与えられたわけですから、本当に理念通りに行動している人だと思います。トップにあるべき姿であったり、経営姿勢であったり、社長として会社を経営していく際に必要なあらゆる要素を、私はTさんから学びました。さらに、失敗してもとにかく前向きに倒れなさい、後ろ向きになってはいけない。そんな企業家精神のようなものを教えられたのです。Tさんは将来、自分が出資することで、社内の各部門の独立であったり、他の業態も含めて15人の社長を作るのが目標だそうです。その記念すべき第1号が私だったんですね。店舗の物件を探し始めたあたりで、一緒にやるはずだった先輩が棄権してしまいます。その人は私より5歳ほど年上だったのですが、その分年収も私より多く、独立に踏み出せなかったのではないでしょうか?それだけではなく、某企業自体がベンチャー企業なだけに、Tさんの行動がとにかく早い。店舗を決めて外装を決めて、じゃあ早く商品の仕入れに行こうとか、とにかく次へ次へと進む速度が半端じゃない。そのスピードについていけなくなってしまったという部分もあると思います。